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僕は報道用のヘリコプター。今まで幾多の事件の現場を見てきた。でも今日で報道ヘリ生はおしまいのようだ。

「なあ、こいつもうプロペラだめになっちまってるぜ。」
「フロントガラスもかなり傷だらけだし。」
「こないだも殺人事件の現場で、操縦士が死にそうになったしな…。」
「こいつももうお払い箱だな。」

僕が働いている国は俗に言う「第3世界」。僕は20年ほど前、日本からやってきて、この国の国営テレビ局で働いてきた。思えばいろいろな場所に行ってきた。繁華街、スラム街、標高300M以上の山、学校、墓地、住宅街、空港、海岸、軍基地。大統領官邸に行ったことだってある。

夜。格納庫には誰もいない。仮に空中から中継しなきゃいけなくなっても、若いやつが飛び出してくる。幸い格納庫の扉は開けっ放しだ。僕は格納庫から堂々と出た。

独りになった僕は、ある場所へ向かった。

とある荒地だ。有名な地上絵がそこにある。ライトアップは自分でできる。

僕はその絵の壮大さに目を輝かせていた。これを見たのは15年ぶりかもしれない。確か教養番組の制作のためにかりだされたんだっけ。

ふと、地上絵とは別の地点に、何かを描こうとする点を見つけた。やがてそれは大きな2つの丸、線路の片割れのような線、そして丸の間に1つのテントを描いた。―あ、わかった!!

僕はもっとよく見ようとその地点まで急降下を考えたが、やめた。あの絵が台無しになる。その代わり、見守ることにした。

点は輪郭を描き、花を描き、クロスボーンを描いた。

出来上がったその時、地上の海賊旗は輝いた。どこからか歓喜の声が上がった。僕は立ち去ろうと思い、もう一度海賊旗を見た。髑髏が一瞬ウィンクしたように見えたけど、気のせいかな?どっちにしても、これが僕の最高のラストフライトになったと思う。

「ねえ、これどうするの?」
「スクラップに出すのはもったいないしなあ」
「日本から業者でも呼んで、いろいろ処理してもらわなきゃなあ」

*******************************
怪談じゃないな(笑)

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