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ある夕方、俺が公園でタバコをふかしていると、ぼろぼろになった高部がやってきた。
俺はすぐ奴がまたゲーセンでたかられたと確信した。奴の場合、たいていそうだ。
俺は奴がものを言う前に「もうゲーセン行くんじゃねえぞ」と言ってやった。
そしたら学校でやられたんだと。
俺は「もうやり返しちゃえ」と言った。
奴は何も言わず、俺の元を去っていった。
その翌晩、俺が崩れかかった古い洋館の前を通りかかると、誰かが鏡の前に立っていた。
鏡の向こうには金髪の男が怪しい光を放ちながら立っていた。当初俺はその金髪男が立っていると思った。
しかし、俺が聞いたその声は間違いなく、唯一の心の友―高部孝也のものだった。
「き、君が…、噂に聞く最凶の吸血鬼、ヴィンセント・ネッド・スターシブル…?」
俺は思わずその場に立ち止まった。
「ああそうだけど、何の用?」
男はたいして普通に答えた。
「長年、僕を苦しめてきたあの憎き拝島、橋詰、二条を殺して欲しい。僕の体を使ってでも。」
俺は、苦しめたって、ただ1年間奴らにたかられただけじゃねえかと心の中で思った。
「久々に飯の話か…。乗ったぜ。」
その直後、ヴィンセントは鏡の中から出てきて孝也の体へと入っていった。すると孝也の髪は黒から金色になり、体つきもだんだん華奢になってきた。そして、いつのまにかヴィンセントの姿になっていた。
心配になった俺は、奴のあとをこっそりついていった。吸血鬼対策として尖ったガラスの欠片をポケットに忍ばせて。
ヴィンセントは、拝島が待ち伏せている箇所を堂々と歩いた。案の定、二条が金属バットを振り下ろしてきた。しかし、ヴィンセントは、バットが当たらないように拝島に抱きついた。
ウエエと悲鳴を上げる二条たち。おろおろする拝島。
拝島がこの野郎のこの字を言う前に、ヴィンセントは奴の首に噛み付いた。だんだんしおれていく拝島。それを腰抜かしてみている2人。そしてガチガチに固まっている俺。されど、ヴィンセントの表情は今にも眠りにつきそうな子どものようだ。
それからして奴は飽き足らないのか、青ざめている二条たちにも1人ずつ噛み付いた。
橋詰の血を吸い終わったあと、奴は孝也の姿に戻った。
「ヴィンセントがとがったもの頂戴だって。」
俺は震えた手で孝也にガラスの破片を渡した。
それから10分後。
「ねえヴィンセント、仕事は終わったから、もう僕の体から出てってくんない?」
するとヴィンセントはさらりとこう反論した。
「わりぃな。お前にゃ教育が必要のようだな。一生お前につくぜ。」
「えっ、そんなの聞いてないよ!!僕の体使っていいとは言ったけど、一生僕を教育してくれなんて言ってないよ!!」
「なあ孝也すべての物には代償があるって学校で習わなかったか?」
「ちょっと、それとこれとは話が違うよ!!」
孝也の反論にヴィンセントは(はたから見れば孝也だが)ツーンと舌を出しながらそっぽを向いてしまった。
俺は奴に付き合ってられずにその場を去った。 |
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