グロネタやってみました。毎度毎度申し訳ありません。
買ってきたホラー小説はあまり参考にはしていません。
吸血鬼ものの方は、女性向けの作品でないことはわかりますが(卑語が結構使われていたし、実際エロ本同然だとは感じました)、スリルがあって面白かったな。
でも、スプラッタホラーの方は、生理的にあまり好きじゃなかったな。いくらヨーロッパ文学の香りがするからって、いい本とは限らないということはわかりました。
山崎爽太(そうた)は、双子の兄の爽生に寄り添って、音楽室のベートーベンの肖像画をじっと見詰めていた。
「奴の顔に何かついているのか?」
「ついているもなにも…」
爽太はベートーベンの瞳孔を指差した。
「わっかんねえなあ」
「この角度ならわかるよ」
爽太は10度右に回った。爽生もそれについた。
「…もしかして、これのことか?」
爽生は白々しくたずねた。
爽太はうつむいたままうなずいた。
「………んなのただのいたずらに決まってるだろう」
「どうしてわかるの?」
爽生は肖像画を壁からおろした。
「ほらよ」
彼は肖像画を裏返した。
目の位置には、画鋲が二つ。
爽太はなあんだ、とがっかりした声を上げた。
爽生は肖像画を戻そうとしていたその時、何者かがガラリと乱暴に戸を開ける音がした。
「げっ、ザマスだ!!」
2人は同時に声を上げた。
ドアの前にはザマスこと―音楽の授業の担当である座間澄子が鼻息を荒くして、ずっしりと立っていた。
「山崎君、何をしているザマス!!」
「えっ、あの、その、おいらたちは…。」
「ベートーベンの目について語っていたところなんです」
爽生は颯爽と出てきた。
その場にいた生徒たちはそうだそうだと叫んでいた。
「言い訳はよすざます!」
座間はベートーベンを爽太からひったくると、ぶつぶつ文句をたらしながら肖像画にささっていた画鋲をピン、と抜き取った。
とたんに、澄子の涙腺からスプレーペンキのようにブシューッと血を吹いてバタンと倒れた。
あたりは騒然となった。
かくして、ここの学校にまたひとつ不思議、いやタブーが増えた。
『肖像画にいたずらをしてはならない。いたずらの後処理もしてはならない。後処理をしようとする、肖像画と同じ目にあう。』
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