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「あなた、いつまでそこにいるの?」 美亜さんの言葉に答えるかのように、ピアノの前に、再びあの少女がすうっと現れた。 「なぜ私が見えるの。」 少女の声は、消え入りそうだったが、透き通っていた。 「もともとね。あなたは―竹島久美子さんね。」 少女はうなずいた。 僕はその名前に聞き覚えがあった。 「会うの、久しぶりね。入学式のとき以来かしら。ねえ、何で1年以上もここにいるの?1年生の姿のままで。」 「実は―海斗君を好きになっちゃったの。でもあの子、恋人がいて…。」 僕はあっと言いそうになってしまった。あの子、1年前に確か…。そう思い出し始めたその時、頭の中で、ドカーンという音と、女性の悲鳴が響いた。美亜さんの声も聞こえた。救急車のサイレン…。 |
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「もしもし?」 「もしもしじゃないわよ!!!祐ちゃん今どこにいるの!!!??もう12時よ!!お母さん心配したんだから!!」 12時?僕は一瞬わけがわからなかったが、キーンって音がしなくなってからびっくりした。真っ暗で静かな上に、周りに誰もいないのだ。 「き、菊代高校…。」 「菊代って明後日の方向じゃない。」 僕は面倒くさそうに答えた。 「野暮用の積もりが寝ちゃってて気がついたら…。」 「まあいいわ。今から車で迎えに行くわ。」 僕は了解すると電話を切った。 あれ―?今12時ってことは―なんでまだピアノは鳴っているんだ? と、そこへラブレターの受取人(?)の美亜さんがやってきた。 「祐太君、何であなたここにいるの?」 「まあいいわ。とにかく今は音楽室へは近づかないほうが貴方の身のためよ。」 彼女が着いた先は、音楽室だった。中は不気味に、そして幻想的に青白く光った。 ピアノの前には、一人の少女が演奏していた。 「ついてきちゃだめって言ったでしょ。」 美亜さんは、振り向きざまそういってきた。 僕は身を隠していたが姿を現すことにした。 「中学のときは、いつも2人で霊慰めに行ったもんね。いいわ。でも自己責任よ。」 |
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夕方六時。一人の少女が音楽室で、夕焼けに包まれながらピアノを弾いていた。
僕はその一階下でラブレターを持って待っていた。例の少女のためではない―だけどとても大切な人だ。 ピアノの音色は、甘く切なく僕の胸を締め付ける。先輩がまだ来ていないのもあるけど。 余りの甘さに僕は恍惚として目を閉じてしまった それからちょっとして、ケータイの着信音で僕は我にかえった |
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僕は報道用のヘリコプター。今まで幾多の事件の現場を見てきた。でも今日で報道ヘリ生はおしまいのようだ。 「なあ、こいつもうプロペラだめになっちまってるぜ。」 僕が働いている国は俗に言う「第3世界」。僕は20年ほど前、日本からやってきて、この国の国営テレビ局で働いてきた。思えばいろいろな場所に行ってきた。繁華街、スラム街、標高300M以上の山、学校、墓地、住宅街、空港、海岸、軍基地。大統領官邸に行ったことだってある。 夜。格納庫には誰もいない。仮に空中から中継しなきゃいけなくなっても、若いやつが飛び出してくる。幸い格納庫の扉は開けっ放しだ。僕は格納庫から堂々と出た。 独りになった僕は、ある場所へ向かった。 とある荒地だ。有名な地上絵がそこにある。ライトアップは自分でできる。 僕はその絵の壮大さに目を輝かせていた。これを見たのは15年ぶりかもしれない。確か教養番組の制作のためにかりだされたんだっけ。 ふと、地上絵とは別の地点に、何かを描こうとする点を見つけた。やがてそれは大きな2つの丸、線路の片割れのような線、そして丸の間に1つのテントを描いた。―あ、わかった!! 僕はもっとよく見ようとその地点まで急降下を考えたが、やめた。あの絵が台無しになる。その代わり、見守ることにした。 点は輪郭を描き、花を描き、クロスボーンを描いた。 出来上がったその時、地上の海賊旗は輝いた。どこからか歓喜の声が上がった。僕は立ち去ろうと思い、もう一度海賊旗を見た。髑髏が一瞬ウィンクしたように見えたけど、気のせいかな?どっちにしても、これが僕の最高のラストフライトになったと思う。 「ねえ、これどうするの?」 ******************************* |
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「こういう静かな海っていいよなあ」
僕は側に座っていた清美に声を掛けた。 「まあね。人の多い海も好きだけど」 僕たち二人は目の前の景色を楽しんだり、海水を掛け合ったりした。男二人と聞くと空しいかもしれないけど、僕たちにとってはそうは感じなかった。 僕たちが貝殻を拾っていた、その時だった。 大きな波が僕たちを飲み込んだ。 清美はすぐに助かったが、僕は沖まで流された。 その場にいたサーファーが僕の方に向かって行くのが見えた。 泳ぎのうまくない僕は、常に立ち泳ぎ状態だった。 「ゆうちゃーん、頑張ってぇ」 清美の声がした。僕は手を振ろうとした。しかし力尽きたみたいだ。体が沈んでいく。 ―いや、何かが僕を持ち上げている。波なのか?―いや、違う、手だ白い手が僕を運んでいるのだ。 手は僕を持ち上げながら、波打ち際まで運んだ。 「ゆうちゃん」 ああ、キヨが暖かいからだで僕を抱く。 キヨの涙が僕の体に降り懸かる。 「よかったな、お前、生きてて」 サーファーの目は泪で潤んでいた ふと、土産屋の建物に目をやると、建物の側に小さな祠があった。 二人で近付いて見ると、道祖神の様だった。 土産物屋のおばちゃんの話によると、死者の多かったこの海に、祠をたてたらぱたりとでなくなったとのことだった。 |
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エディ前 (10分ほどして) 噴水のほとり |
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