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死にネタ。大丈夫な方のみどうぞ。

僕の学校の音楽の山村奏(かなで)先生は、とても美人だ。なんていうか、萌え系でも、きつめ系でもなく、僕の中では上品系に分類されるタイプなのだ。(実際歌もうまいし、ピアノも最高だ。)

ただ、上品だけど、どこか暗黒を孕んでいる様な気がしてならない。優しそうだけど、小鳥が寄ってくるような感じがしない。こんなことを思うのは僕だけだろうか。

「なあキヨ」

5時間目の休み時間、僕は清美に声をかけた。

「山村先生ってどう思う。」

「まあいい先生じゃないかな。」

僕はあっそう、と答えて3階の2年生の教室に上がった。

「あの斉藤先輩」

僕は生徒のグループにいる斉藤先輩に清美と同じ質問をした。

「山村センセ!?僕その人のこと大好きなの。尊敬しちゃうわ♪」

僕はちょっとがっかりした。山村先生のことを悪く思うなんて僕は間違ってるんだろうな。

放課後、勉強を終えた僕は教室を最後に出た。
鍵を閉めて、ちょっと離れた職員室に戻したあと、斉藤・戸部両先輩や、清美の待っている校門に向かう途中のことだった。
踊り場の鏡の前で、山村先生が落ち着かない様子で髪を直していた。と、その時だった。鏡の中からもう一人の山村先生がぬぼーっと出てきたのだった。
「よくも私を閉じ込めてくれたわね」
もう一人のほうは、憎しみと陰気さと憤怒を混ぜ合わせたような表情をしていた。
僕の疑問の理由がこれではっきりした。鏡の中から出てきたのが、本当の山村先生だったのだ。

彼女は、腰を抜かしている山村先生に襲い掛かった。

ふと、僕はあることを思い出してしまった。
「鏡の中の自分を殺すと、殺した方も死んでしまう」

「鏡の中の私は陽気で、大胆で、強そうなくせに本当は臆病な最低な女だわ」

山村先生は鏡の中にあるべき自分の首を絞め続けていた。

僕の制止も、絞められた側の抵抗も効かなかった。

絞められた側は、血色を失うと、そのまま見えなくなっていった。絞めた側も、ばたんと倒れてそのまま動かなくなった。

僕はどうしようか迷った。

「おーい祐ちゃん、もうそろそろ暗くなっちゃうわよ」

校庭から声がしたので、見てみると、斉藤先輩たちがいた。

僕は声のするほうへ向かった。

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